【書評】もしアドラーが上司だったら【小倉広】
「また仕事でミスをしてしまった…もう自分には価値がないんじゃないか」 「やるべきことは分かっているのに、どうしてもやる気が出ない…」 社会人なら誰しも、一度はそんな風に落ち込んだ経験があるのではないでしょうか。私も、自分の「できていないこと」ばかりに目を向けては、勝手に落ち込み、前に進めなくなることの繰り返しでした。 そんな私に、まるで新しいOSをインストールしてくれたような感覚をくれたのが、小倉広さんの著書『**もしアドラーが上司だったら**』です。もし、あなたの上司があのアドラー心理学の達人だったら? 本書は、そんなユニークな設定で、仕事や人生の悩みを次々と解き明かしてくれます。それは、根性論や精神論とは全く違う、思考の「見方」を変えるレッスンでした。 ## 95%の「できていること」に目を向ける勇気 アドラー上司がまず教えてくれたのは、私たちは物事のたった5%の「できていない部分」に囚われすぎている、という事実です。 例えば、営業で10件訪問して、契約が1件しか取れなかったとします。以前の私なら、「9件も失敗した…」とひどく落ち込んでいたでしょう。しかし、アドラー上司はこう言います。「1件も契約できたじゃないか!」「そもそも1日に10件も訪問できるなんてすごい!」と。 毎日、満員電車に乗って会社に行っていること。遅刻せずに出社していること。そんな「当たり前」だと思っていた95%の「できていること」に光を当てる。これは、ブレーキを踏みながらアクセルを踏むような、無駄なエネルギー遣いをやめることだと気づきました。できている自分を認められて初めて、人は次の一歩を踏み出す勇気が湧いてくるのです。 ## あなたの価値は、仕事の成果で揺らがない 仕事で大きなミスをすると、まるで自分の全人格が否定されたかのように感じてしまいます。しかし、アドラー上司は「機能価値」と「存在価値」を分けて考えなさいと教えてくれます。 * **機能価値**:仕事ができる、資格があるといった、スキルや能力のこと。会社が私たちを評価するのは、主にこの部分です。 * **存在価値**:あなたが、ただそこに「存在する」だけで持つ価値のこと。家族や友人にとって、あなたの価値は仕事の出来不出来で変わりませんよね。 仕事の失敗で下がるのは、一時的な「機能価値」だけ。あ...